その1 ストライフ・デリバリーサービス
「おそいなあ、クラウド。 どこまで行ったんだろ」
「まさか、イミテーションに襲われたんじゃ」
「えー、クラウドにかぎって大丈夫ッスよ! イミテーションじゃ束ンなってもかなわないって」
「それもそうか…」
「ただいま」
「あ、おかえ……すごい荷物だなあ。 どうしたんだい?」
「ああ…」
「それに服。 出てった時はアナザーじゃなかったよね?」
「ああ…」
「ああ…じゃわかんないったら。 クラウドー?」
「まさか…何かあったのか? 怪我でもしてるんじゃ」
「え! マジかよ、クラウド大丈夫か!? たまねぎとか呼んだほうがいいッスか!?」
「…ああ、いや、大丈夫だ。 すまない、なんでもない」
「なんでもない人の態度じゃないと思うけどな」
「怪我もない、疲れただけだ。 それより、これ」
「うひょー! 戦利品の山ッス! すげークラウド!」
「これは…魔導船か。 こっちは…ファルコン?」
「…ずいぶん、いろいろなところに行ったんだな」
「まあな…」
「あれ? これって」
「ドレスだ。 きれいだね」
「これはなんだ? …かつらか?」
「おっ、これって香水? この世界にもこんな洒落たもん、あるんスねー」
「……ティナにでもやってくれ」
「え、あれ、クラウド?」
「俺は寝る…(すたすたすた)」
「………」
「………」
「疲れてたんだな、クラウド……、……? どうした、二人とも黙り込んで」
「……いや、僕の記憶違いかもしれないけど」
「……たぶんセシル、オレとおんなじこと考えてるッス」
「なんだ?」
「…ああ、のばら知らないッスか…」
「…だから、何のことだ」
「僕の口からは言えないなー…」
「オレも言えないなー…」
「……なんだよ、二人して…」
「気になるならショップに行ってみるといいと思うよ」
「このドレス、たぶん売ってるッスよ」
「え? そうなのか?」
1.勢いでそろえてしまった、クラウド・ストライフ(21)若さゆえの痛恨のあやまち
2.さらに思わず着てみちゃったりそのまま戦ってみちゃったりしたので、普段の俺をとりもどすためにアナザーでかっこつけてみた
3.でもドロップ率とライズ率があがるってんで、みんなにせがまれると断れないクラウド・ストライフ(21)、いいおにいちゃん
4.さすがに化粧はしない