「兄さん! 日本には節句を月遅れで祝う地域があるけど、それはどうしてなの?」
「うむ、よく気がついたセシルよ。 昔の日本はいまよりひと月ほど遅い太陰太陽暦で暮らしていたのだ。 明治以降西洋にあわせてグレゴリオ暦を使うようになったが、そのままの日付で節句を祝うと時宜にあわないということで、季節をあわせるためにひと月遅らせるという風習ができたそうだ」
「そうなんだ! すごいや、さすが僕の兄さんだ! なんでも知ってるんだね!」
「うむ、お前の兄であるからにはこの程度の知識は朝飯前というものだセシルよ。 たとえば昨今、鯉のぼりというものは5月の快晴の空に悠々と泳ぐことが風物詩とされている。 しかし旧暦の端午の節句はいまの暦でいえば6月のなかばごろとなって、雨ばかり降っている。 これは鯉のぼりという習慣が、鯉が滝を登って竜となるという伝説から来たことに関係しているのだ。 つまり鯉が滝を登り竜となるがごとく、男児たるもの雄雄しく凛々しく育つべしという願いをこめて、雨の時期に鯉のぼりを飾るというのが古来の姿であるということだ」
「(ああ兄さん本当に何でも知っていていつでも優しく教えてくれて横顔も素敵でたくましくてかっこよくてなんて素敵なんだこんな人が僕の兄だなんて僕はなんて幸せものなんだろう兄さんたら声まで渋くて素敵でいつまでも聞いていたいくらいだ)」
「しかし新暦と旧暦ではひと月の長さなどに微妙な差異があり、毎年何日と決めることが難しい。 そこで日付だけはグレゴリオ暦を用い、月だけをひと月遅らせることによって祝いやすくしたということだな。 また桃の節句、七夕などにもおなじことが言える。 逆に月遅れが定着している例にお盆があり、これは旧暦の盆というのは7月15日のことで――」
「(それにしてもにいさんはどうやってあんな立派な体躯になったんだろう魔法使いなんだからそこまで鍛えなくてもよかっただろうにやっぱり遺伝なのかなでもだったら僕だってもう少しがんばれるはずだよし兄さんと肩を並べられるくらいの筋骨隆々とした肉体を目指そう!目標兄さん!)」
「――というわけだ。 わかったか? セシルよ」
「うん、とても! 兄さんは本当にすごいんだね!」
「うむ、あまりおだてるものではないぞセシルよ。 この程度のことであればいつでも答えてやろう」
「本当! ありがとう兄さん!」
「うむ、お前の役に立ててなによりだセシルよ」
さいしょは「おしえて!黒い人」のキャッチフレーズだけだったのに、いつのまにかこうなった。(←)
半分以上聞いてないセシルととりあえずセシルが目の前にいればあとはなんでもいい兄さん。 こんな月兄弟やだなあ…。
たぶんカインもどこかにいるんだろうけど、兄さんの長い話がはじまってから3秒で寝だしたと思います。 勉強きらいな子だから。(魔法使えないし知力セシルのはんぶんだから)
DFFに知力関連のステータスがなくてほんとよかったと思います。(よけいなお世話…)
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