リカは唇を舐め、衛兵の傍へと歩いていく。
なるべくしなを作るように、身体を捻りながら。
衛兵の胡散臭そうな視線を受けて、肩にかかった髪をばさりと払いのけながら、にっこりと微笑む。
「なんだ? この奥は――」
「ねえお兄さん。 あたし、ご主人様のお言いつけで来たのだけど、ちょっと疲れちゃったの」
もともと男性にしては曲線的な身体を活かして、胸は豊満に見えるようにしっかりと詰め物をしておいた。
女性陣のこだわりによって、手触りも本物のように張りがある。
胸の下で腕を組み、豊かな胸元をことさら強調するように押し上げると、男の視線がそこに注がれるのがわかった。
人間って正直だ、と思いながら、そのまま男の傍まで忍び寄った。
「お兄さんもこんなところにずっと立ったままじゃ、疲れちゃったんじゃなあい?」
「そ、そりゃあ……」
「ね、お兄さん……あら、ひさしの下、意外と男前じゃない。 あたし、好みよ」
肩から擦り寄るようにして頬に手を添え、わざと吐息交じりの声でささやくようにすると、衛兵がごくりと唾を飲み込む。
片足をゆっくりと上げ、男の足に絡ませる。 なるべく卑猥に、誘うようなしぐさで。
「あたしとイイことしない? 付き合ってくれたら、すっごく気持ちよくしてあげる…」
「……し、仕方ないな。 す、少しくらいなら……」
男の手が、ついにリカの腰に回った。 逆の手が、間に挟まれて衛兵の腕に押し付けられた乳房に伸びる。
それを今まさに掴まんとしたとき。 リカの腕が、するりと男の首に回った。
「ありがと」
言うが早いか。 リカの手が、一思いに衛兵の首を絞める。 一瞬で、気を失った男は、だらりと弛緩して、壁にずるずると崩れ落ちた。
濡れた紅い唇が、弧を描く。
「……ね。 気持ちよく寝れたでショ?」
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っていうのを、書きたかった。(笑)