37 相手に嘘をつける? 嘘はうまい?
リカ「嘘っていうか、まあ演技は嫌いじゃないよ」
ユキ「下手ではないかな」
リカ「ユキはこの笑顔が曲者なんだよね…」
マコト「僕は苦手だなあ…」
ユキ「上手下手はともかく、嘘は極力つきたくない」
リカ「同感。 …まあ、隠してもバレそうなんだけど」
マコト「ええと、なんだろう…」
ユキ「天気のいい日に甲板で昼寝。 これに限る」
リカ「ひと働きしたあとの風呂と酒! 最高」
マコト「じゃ、じゃあええと…! ハ、ハイ・ヨーの料理食べてるとき!」
リカ「あー。 いいよな、あのテラスで優雅にランチとかさ」
ユキ「あれはこの城ならではだよな…」
ユキ「怒ったり怒らせたりなら」
マコト「え! ふ、2人ってケンカするの…?」
リカ「ケンカっていうか、なんていうかな…」
リカ「ユキは怒るっていうより、叱るって感じ」
ユキ「リカはほんとに怒るとほとんど口きいてくれなくなるから、けっこう怖いぞ」
マコト「そ、そうなんだ…! き、気をつけよう…」
リカ「よく考えたら、謝るの大概俺が先だよな」
マコト「え、そうなの?」
リカ「うん。 俺が怒られるときは当然そうだし、俺が怒っててもこう…気持ちが追いつかなくなって」
ユキ「そういえば、そうかもな。 謝ろうって思った瞬間に先手取られる気がする」
リカ「どの道、ずっとケンカしてたいわけじゃないしね…それに冷静になると、カッとなってる自分って恥ずかしくないか?」
マコト「あっ…それはわかるかも」
マコト「こ、恋人じゃないけど…!」
リカ「生まれ変わるかー。 いつの話だろう」
ユキ「さあなあ(笑)。 けど、今これだけ縁のある奴らと、来世なんにもないってことはあり得ない気がする」
リカ「袖擦り合うも他生の縁、っていうしね」
ユキ「もしかしたらほんとに袖擦り合うだけで終わったりしてな」
リカ「ええー(笑)。 それはもったいない気がするから、やっぱ生まれ変わらないで長生きする方向でいこう」
マコト「ええと、どんなに大変でも僕を助けてくれるとき」
リカ「そうだなあ…クサクサしてるときに、変に構ったりしないで見守ってくれてるとき、とか?」
ユキ「愛されてるっていうか、マコトがすごくがんばってるとき」
マコト「へ?」
ユキ「いや、誠実なんだな、と思って。 助けてやりたくなる」
マコト「え、うわー、うわー…! て、照れます…」
ユキ「あとリカはかわいいときな」
リカ「ッ! …なんだそれ!」
ユキ「え、ほめると照れたり俺の前でだけ泣いたり俺のために怒ってくれたり、いろいろと」
リカ「~~っ…マコトー! もういやだこの男!」
マコト「え!? ええと、うん、し、仕方ないよ、ユキさんだもん…」
ユキ「おい、そりゃどういう意味だ」
マコト「愛想尽かされないように、とは思うけど、2人からそういうの感じたことはないかな」
ユキ「ない」
リカ「………」
ユキ「ないよな、リカ?(にっこり)」
リカ「ッッ……ないでス!(自棄)」
マコト「(…なんだか、リカがかわいそうになってきた…)」
マコト「あっ、あいのひょうげん…」
ユキ「うーん。 この面子への親愛表現、ってことでいいんじゃないか?」
マコト「あ、そっか…。 ええと…でも、やっぱり精一杯がんばる、くらいしか思いつかない…」
リカ「ははは。 マコトはそこがいいところだよね」
ユキ「俺の場合は、そうだなあ…なんつーか、ついてっていろいろと世話焼きたくなるよ」
リカ「それすげーわかる」
マコト「…やられてるからってこと?」
リカ「うん」
ユキ「なんだよ、嫌か?」
リカ「え、や、別に嫌とかじゃない…っていうか、ついてきてほしがってたの俺のほうだし…」
マコト「……」
リカ「…え? なに、なんで黙んのさ、マコト」
マコト「…ユキさんの言ってることもわかる気がする」
ユキ「だろ。 かわいいだろ」
リカ「はぁ!?」